プライバシーに配慮した都市型住宅
道路から細長い通路状アプローチの奥に敷地が拡がる旗竿敷地、築年数の古い既存の木造住宅を建て替える計画です。周辺も同様の木造住宅が密集する地域で、災害時の危険性もあり区も老朽住宅の除去、不燃化を推進しています。
敷地面積の内、通路部分に面積をとられ建物として計画できる場所は決して広くはありません。庭のような外部空間を確保することも難しく、四方を隣家の窓に囲まれ、特に南面する隣地はアパートの通路部分になっており、周囲からの視線が気になり窓を開けにくい環境でした。
これらの状況から、全体は単純な矩形とした上で内部に囲われた中庭を設けたコートハウス形状とし、プライバシーに配慮しながら明るく開放的な住まいを目指しました。
日射を適切に採り入れる
南側の窓を開けられることは陽射しを採り入れられることにもつながります。庇を設けることで太陽高度の高い夏は陽射しの侵入を和らげ、太陽高度の低い冬は陽射しを室内に充分採り入れられるような断面計画としています。
リビング奥の壁面は外断熱を施した上でコンクリート打放し仕上とし、陽が射し込む冬期には直接日射を蓄えることを意図しています。通年で考えても、比較的熱容量(熱を蓄える能力)が小さい木造住宅の蓄熱容量を高め、室内の温度変化の緩和も期待できます。
各窓にはスクリーンブラインドを設け、状況に応じて日射を調整することも可能です。